肩関節鏡視下手術の特徴

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■内視鏡手術全般について

どんな関節の内視鏡手術でも共通したことですが、小さい穴を数箇所作ります。
そこから細い内視鏡と手術機械を挿入して、手術を行います。そのため、正常な組織をほとんど痛めることなく、手術が可能です。
またモニターで拡大して見るので、微細な病変もしっかりと診断できます。
そして内視鏡と手術機械を入れる穴を入れ換えることにより、非常に広い範囲が観察できます。
手術機械に関してもいろいろな穴から挿入できるので、広い範囲の処置ができます。

つまり内視鏡を使うと
『低侵襲に正確な診断ができ、精密な手術が可能である』と言えます。
ではこのことを踏まえて、肩関節鏡視下手術の利点について、腱板断裂、肩関節脱臼を例にしながら、詳しく説明していきます。


図A.関節面不全断裂
裏側(関節面側)が切れてなくなり、
表面の腱だけ残っている。
 1.正確な診断が可能
  a.腱板断裂の場合
腱板は必ずしも全層性に切れているわけではありません。
裏側(関節面側)のみが切れること
図A があるのです。
表面から見ただけでは正確にわかりませんが、
内視鏡なら、正確に診断できます。
b.肩関節脱臼の場合
原因となる病変は、多くの場合バンカート病変です。しかし関節包断裂HAGL病変が、原因のことや同時にあることもあります。その場合、内視鏡を用いなければ、診断することは難しいとされています。
 2.正確に腱板を修復できる
 

a.裏側(関節面)の不全断裂のとき
図Aのような断裂のとき、内視鏡を使えば見ながら修復できます。
   
図B.右腱板断裂肩の正面断面図
  b.大きな断裂のとき

 

断裂が大きくなると、断裂部分は内側、後方(場合によっては前方)に広がっていきます。そのため手術のとき右側 図B のように肩峰が邪魔になります。また表層には三角筋が前、横、後ろにあります。オープン法、ミニオープン法のとき、ある程度三角筋を除けることはできますが、病変には一方向からしかアプローチできません C-1 。 結果としてオープン法、ミニオープン法では、視野が悪く、機械の操作がしにくくなります。つまり、正確に処置することが、難しくなります。

一方鏡視下法なら、細い内視鏡と専用の機械を使うので、いろいろな方向から病変にアプローチできます
C-2 。つまり鏡視下法では、しっかりと腱板を見ながら、正確に処置することが可能になります。

 

 3.正確に肩関節脱臼の病変を修復できる
  内視鏡で関節包断裂HAGL病変が診断されれば、それを内視鏡を用いながら修復します。
切開して行う従来の方法の場合、診断自体が難しいので正確に修復することも困難です。
1: 内視鏡を使わない場合
2: 内視鏡を使った場合
図C.手術時に観察および処置のできる方向
 

 4.正常組織への侵襲が少ない
  従来の切開して行う腱板修復術の場合、肩を挙上するのに非常に大事な三角筋を骨から切り離したり、縦割する必要があります。 また従来の肩関節脱臼の手術では、大事な腱板の前方部分(肩甲下筋腱)を一度切離しなくてなりません。
鏡視下手術では、これら正常組織への侵襲が、わずかです。そのため、術後の筋力の回復が早くなります。また瘢痕形成も少ないので、肩関節の可動域の回復も良好です

 5.術後の痛みが少ない
  鏡視下手術の場合、痛みが少ないです。そのため鎮痛剤の使用量が少なく、リハビリも行いやすくなります。

 6.合併病変損傷に対する診断、処置が容易
  腱板断裂では肩関節拘縮、関節の袋の炎症(滑膜炎)、上腕二頭筋(力こぶの筋肉)の脱臼などが合併していることがあります。
肩関節前方脱臼では、前方部分だけでなく、上方部分、後方部分の関節唇の剥離や断裂を合併することがあります。また40歳を越えると腱板断裂を合併することがしばしばあります。
これら合併病変を正確に診断し、同時に処置することが、鏡視下手術なら容易です。

 7.傷跡が小さい
  前述のように手術は小さい穴を数箇所空けて行うだけでなおので、術後の傷跡が目立ちません。

 8.感染予防に役立つ
  還流液を流しながら、手術を行います。結果として手術部位を洗浄していることになるので、術後感染は極めてまれです。
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